HOTTOスタッフブログ

伝統のニッカポッカが絶滅の危機!?昨今のとび職の服装事情

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
ニッカポッカ

日本の伝統であるとび職が履くニッカポッカ

こんにちは。佐藤です。

本日とあるニュースを読みました。
「大手ゼネコンがニッカポッカの着用を禁止を実施」

とび職人の履いているダボダボのズボンをご存知ですか?
独特のフォルムで1度見ると目に焼き付くあのズボン。

あのズボンは『ニッカポッカ』と言います。
ニッカポッカを知らない人の為にまずはニッカポッカについて紹介します。

ニッカポッカとは?

日本では大工やとび職人が履くダボダボのズボンで、足首辺りをキュッと絞ってわたり幅の広いゆったりとしたズボンです。
元々の由来は諸説ありますが、英語では「英語では「Knickerbockers」と表記され、「ニッカーボッカーズ」と呼ぶのが正確です。
ニッカポッカとは、ニッカーボッカーズの略したものと考えるとわかりやすいですね。

職人が現場で履くときは、裾の部分を度の中に入れます。
ニッカポッカは大工やとび職人にの必需品である足袋との相性が良く、多くの人に愛されています。

ニッカポッカの歴史

ニッカポッカの歴史は、中性ヨーロッパの時代に履いていた「ブリーチズ」という半ズボン形式のズボンまでさかのぼります。
オランダ人が移民としてアメリカへ渡った1700年代末期の頃にブリーチズもアメリカへわたり、アメリカ国内で普及したともいわれています。
裾が邪魔にならないため、野球、自転車、ゴルフ、乗馬、登山、狩猟、軍隊などでニッカポッカが愛用され、それが日本にも普及したという説です。
また、お祭りの神輿の担ぎ手などの着物や股引などがルーツともいわれています。

ニッカポッカを履く理由

あのダボダボしたニッカポッカを穿く理由はカッコいいからではなく
職人の仕事内容を大きくサポートしてくれる機能性が認められていて多くの職人に愛されています。

1.足にまとわりつかず動きやすい

職人は作業をする時に立ったりしゃがんだりすることが多く、普通のズボンを穿いていると動きにくく事故に繋がる恐れがあります。
その点ニッカポッカはダボダボしているので足にピッタリする事なく、足回りにゆとりがあり自由自在に足を動かすことができます。

危険から足を守る

ニッカポッカは裾が広くダボダボしていて、足場の鉄筋や資材が足に直接ぶつかる前に裾に当たるので危険を避けられます。
火花が飛んできたときも裾が広いおかげで肌にくっつく危険性を抑えることができます。

また、ニッカポッカの裾は職人の第二の目だと言われています。
作業中に足元を確認しながら作業するので手間がかかります。
ニッカポッカならダボダボ部分がセンサーの役割になり、裾に物が触れれば目で見る前に物を感じることができます。

風の強さを周囲に知らせることができる

大工やとび職人は高所での作業がとても多く、1日中高所で作業する事も日常茶飯事です。
そんな高いところでは風の影響をもろに受けます。
作業場では、強風の時は作業を中止する事があります。

とび職人の作業ではレッカーを使うことも多く、風の強い中レッカーを使うと風に煽らて重大な事故に繋がる危険性もあります。

そんな時にニッカポッカを履いているとズボンがバサバサ動いて、本人も足場の下に入る人にも知らせることができて
みんなで危険を予知する事ができて事故を未然に防ぐこともできます。

大手ゼネコンがニッカポッカを禁止にした理由

上で書いたようにニッカポッカには職人の仕事をしっかりサポートする機能性が備わっているのです。

では、なぜ大手ゼネコンがニッカポッカの着用を禁止したのか?
その理由はいくつかあります。

ニッカポッカは人柄が悪く見えて印象が良くない

まず、一つ目がニッカポッカを履くと柄が悪く見えることが多く、印象が良くない事です。
大手ゼネコンが言い出したことがきっかけで、カーゴパンツなどを足元までまっすぐなズボンを履かないと作業場に入る事も禁じられた事例もあるそうです。

裾の広さが事故に繋がる

ニッカポッカの裾の幅が広いことによって、事故につながる事も実際にはありました。
裾が広くて物に引っかかり転倒したり、ニッカポッカが原因で高所から転落した事故もありました。
そんな事故を未然に防ぐ為にもニッカポッカの着用を禁止したそうです。

ニッカポッカだけでなく足袋まで禁止に

実はニッカポカ意外にも、足袋の着用を禁止する現場もあります。
足先に重いものが落ちてケガをしないようにつま先に鉄板などが入った安全靴の着用が義務付けられている事例もあります。

このままニッカポッカはなくなってしまうのか?

大手ゼネコンがニッカポッカの着用を禁止する理由も充分理解できます。
確かに建設業界で働く人は柄が悪く見えることが多く、少しでもイメージを良くするために着用を禁止する気持ちも分からなくはないです。
機能面が優れている事で今でも履いている人がいるわけであって、本来なら柄が悪く見えるズボンではないのですが
ニッカポッカを履いて乱暴なことをする人もいるようで、「ニッカポッカ=柄が悪い」イメージが広まっていったようです。

まとめ

ニッカポッカのあのダボダボは職人の仕事をするうえで機能面ですごく優れているのも事実です。
このままニッカポッカをなくなってしまうのは、私は寂しい限りです。
親戚のおじさんが大工で、ニッカポッカを着て仕事をしている姿を見た時はとても男らしく格好良かったです。
ニッカポッカって大工やとび職人を伝統と共に命を守ってきた歴史ある服装だと思います。

ただ、建設業だけに限らず安全管理はかなり厳しくなってきているのも事実です。
職人が自分の命よりも魂を優先する粋な職人気質であったとしても、施工会社からの指示には従わないといけません。
スリムなカーゴパンツの方が現代では安全なのも事実です。

街中でもニッカポッカを履いている人を見なくなってきました。
今後、ニッカポッカではなく、カーゴパンツなどの平ズボンが主流になるかもしれませんね。

ほっとできるライフスタイルマガジン

プロの食堂公式

アパレルバンク本店バナー